インプラント専門医の視点|「上顎の奥歯にインプラントを希望したが、骨が薄すぎて難しいと言われた」負担少なく骨高径3.2mmから11.8mmへ。水圧による低侵襲な上顎洞底挙上術(クレスタルアプローチ)の症例。
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「上顎の奥歯にインプラントを希望したが、骨が薄すぎて難しいと言われた」——そうご相談にいらっしゃる患者様が少なくありません。骨高径3.2mmという、通常であればインプラント埋入が難しいケースでも、水圧を利用した低侵襲な上顎洞底挙上術(クレスタルアプローチ)によって、11.8mmまで骨を増やしインプラントを成功させた症例をご紹介します。
CT画像で見る術前・術後の変化

上段(術前):左・正面断で骨高径3.2mm、右・側面断でも3.2mmと確認。上顎洞が大きく広がり骨がほとんど残っていない状態。
下段(術後):右・側面断では骨高径11.8mmを達成。骨補填材が上顎洞内に均一に広がりインプラント手術における難易度が低下している。
術前CTでは骨高径がわずか3.2mmと、通常のインプラント埋入には到底足りない状態でした。しかし水圧式上顎洞底挙上術(クレスタルアプローチ)によってシュナイダー膜を安全に剥離・挙上し、骨補填材(Bio-Oss)を充填することで術後には11.8mmという十分な骨高径を確保することができました。側面断のCT画像でも、インプラント体が上顎洞底から適切な距離を保ちながら良好な位置に埋入されているのがわかります。
水圧式上顎洞底挙上術とは
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水圧式上顎洞底挙上術とは、インプラントを埋入する穴(クレスタルアプローチ)から生理食塩水を注入し、その水圧によって上顎洞底の粘膜(シュナイダー膜)をやさしく剥離・挙上する術式です。従来のソケットリフトで使用していた器具による機械的な押し上げとは異なり、水圧で均一に・やさしくシュナイダー膜を持ち上げるため、膜の穿孔(破れ)リスクを大幅に低減できます。
シュナイダー膜が穿孔してしまうと、充填した骨補填材が上顎洞内に散逸するリスクがあり、手術の続行が困難になることがあります。水圧を利用することで、この最大のリスクを回避しながら確実な挙上を実現できる点が、この術式の最大のメリットです。
従来のサイナスリフト(ラテラルアプローチ)との違い
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従来のサイナスリフト(ラテラルアプローチ)
- 頬側の骨に窓を開けてアプローチ
- 切開・剥離の範囲が大きい
- 術後の腫れ・痛みが数日〜1週間続くことがある
- 大量造成には適している
- 視野が広く確実性は高い
- インプラント埋入まで4〜9か月の治癒期間が必要なことが多い
水圧式クレスタルアプローチ(今回の術式)
- インプラント窩からアプローチ——切開は最小限
- 水圧でシュナイダー膜をやさしく挙上
- 術後の腫れ・痛みが非常に少ない
- インプラント埋入と同日に完了できるケースが多い
- シュナイダー膜穿孔リスクが低い
- 患者様の身体的・時間的負担が大幅に少ない
今回の症例では、骨高径3.2mmというきわめて少ない骨量にもかかわらず、水圧式クレスタルアプローチ単独でインプラント埋入に必要な11.8mmまで挙上することができました。従来であればラテラルアプローチのサイナスリフトが必要と判断されるようなケースでも、術者の技術と適切な症例選択により、より低侵襲な方法で対応できる場合があります。
治療の流れ
1. 精密検査(CT撮影・診断)
CTで骨高径・上顎洞の形態・シュナイダー膜の厚さ・上顎洞内の状態を三次元的に評価。水圧式クレスタルアプローチが適応かどうかを判断します。
2. インプラント窩形成・水圧による膜挙上
局所麻酔下でインプラント窩を形成し、専用のシリンジで生理食塩水を注入。水圧でシュナイダー膜をやさしく剥離・挙上します。従来の器具による押し上げとは異なり、膜への負担が最小限です。
3. 骨補填材の充填・インプラント埋入
挙上で生じたスペースに骨補填材を充填し、そのままインプラント体を埋入。4mm以上の骨高径があれば多くの場合、挙上とインプラント埋入を同日に完了できます。
4. 治癒期間・経過観察
骨とインプラントが結合するまでの期間(オッセオインテグレーション)を経て、上部構造(人工歯)を装着します。定期的なCT撮影で骨の状態を確認します。
この術式が向いているケース・向いていないケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 向いているケース | 骨高径が3mm以上ある場合/シュナイダー膜が比較的健全な場合/上顎洞内に炎症・隔壁などの問題がない場合/できるだけ低侵襲で治療を進めたい方 |
| 慎重な判断が必要なケース | 上顎洞内に炎症・ポリープがある場合(耳鼻科での治療が先行)/骨高径が極端に少なく膜の安定した挙上が困難と予測される場合/シュナイダー膜が非常に薄い場合 |
| ラテラルアプローチが適しているケース | 大量造成が必要なケース/複数本のインプラントで広範囲の挙上が必要な場合 |
「骨が足りないから絶対にラテラルアプローチが必要」とは限りません。今回の症例のように、骨高径3.2mmというケースでも水圧式クレスタルアプローチで対応できることがあります。どの術式を選ぶかは、CTによる精密な診査と術者の経験・判断によって決まります。当院では複数の術式に対応しており、患者様の状態に最も合った方法をご提案します。
< よくあるご質問 >
Q: 水圧式の挙上術は痛いですか?
A: 手術中は局所麻酔を使用するため痛みはほとんどありません。術後も従来のサイナスリフトと比べて腫れ・痛みが格段に少なく、多くの患者様が翌日から通常の生活に戻られています。
Q: 骨高径が3mm以下でも対応できますか?
A: 骨高径が極端に少ない場合は、水圧式クレスタルアプローチでの対応が難しく、ラテラルアプローチのサイナスリフトが必要になることがあります。CT撮影で現在の骨の状態を確認したうえで、どの術式が適しているかをお伝えします。
Q: 他院で「上顎の奥歯はインプラントできない」と言われましたが相談できますか?
A: はい、ご相談ください。「できない」と判断された理由によって対応可能かどうかが変わります。当院ではCT撮影による精密診査を行い、水圧式クレスタルアプローチを含む複数の術式で対応できる可能性があるかどうかを正直にお伝えします。
Q: 費用はどのくらいかかりますか?
A: 上顎洞底挙上術を伴うインプラント治療は、通常のインプラント費用に加えて挙上術・骨補填材の費用が加わります。骨の状態・必要な術式によって異なるため、カウンセリングと精密検査のうえで費用の目安をお伝えします。
当院は港区麻布十番・六本木・三田・赤羽橋・神谷町・虎ノ門・西麻布・元麻布・南麻布・麻布台エリアからアクセスしやすい立地にあります。日本口腔インプラント学会専門医が在籍しており、水圧式クレスタルアプローチをはじめ、ソケットリフト・サイナスリフト・デンサバーなど複数の上顎洞底挙上術に対応しています。「上顎の奥歯のインプラントを諦めていた」という方も、まずはご相談ください。
「上顎の奥歯の骨が足りないと言われた」方へ。CT撮影による精密診査で骨の状態を確認し、
水圧式を含む最適な術式と治療の見通しを正直にお伝えします。
その場で治療を決める必要はありません。
[赤羽橋歯科矯正歯科] / 港区麻布 / TEL:03-6230-9900
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